ササの生えた部屋からの脱出～ご先祖様の戯れ～

我が家には七夕の日だけ開くといわれる部屋がある。
が、一度も開いたことはない・・・。
毎年７月７日に扉を開けようと試みているが、
扉はぴくりとも動かず開く気配すらない。
そんなある日、図書館で七夕に関するある本を見つけた。
なんでも七夕は新暦の７月７日に行う地域と、
旧暦の７月７日、
つまり月遅れの８月７日に行う地域があるというのだ。
そういえば私の地域の七夕祭りは８月７日だったなと
今更ながらに思い出す。
もしかしてあの部屋の扉も・・・。
８月７日、開かずの部屋の前に立つ。
いざ、勝負！
ゆっくりと部屋のノブを回す。
かちゃとドアの開く音がした。
開いた！？
いままでどんなに力を入れても開かなかった扉が開いた。
部屋の中には何があるんだろう。
期待に胸を躍らせ部屋の中に足を踏み入れた。
がちゃ。
部屋に入った次の瞬間、後ろのほうでドアの閉まる音がした。
えっ？
ドアノブを回すがピクリとも動かない。
どうやら閉じ込められたようだ。
どうしよう・・・。
途方に暮れていると、部屋の中であるものを見つけた。
ん？これは手紙かな？
落ちていた手紙を拾い封を開けてみる。
手紙にはこう書かれていた。

「やっほー♪この部屋を作ったご先祖様だよ。てへっ♪
この部屋には入れたんだね。おめでとう！
じゃあ、今度は出る方にも挑戦してみよう～♪」

どうやら、部屋に入る方法を見つけたのだから
次は出る方も見つけろというのだ。
それにしても若干イラッとする文章だ。
う～ん、脱出しますか・・・。